患者様:40代 男性
状態:骨盤が後ろに傾いている影響で重心が傾き猫背になっている。左右の傾きは少ないものの、骨盤が後ろに傾いているため座っているときの腰の負担が大きく、さらには仕事柄長時間のデスクワークのため、後ろに向かう重心のバランスを取ろうとしてより猫背が強くなっている。
問診時:骨盤は後ろに傾いており、それにより荷物を背負うときに後ろにふらつきやすい。また、右肩から首にかけて強い痛みとコリ感があり、首を左右に傾けることも振り向くこともできない状態になっている。しかし、ベッドに仰向けの状態になると痛みが和らぎ首の可動域が広がる。これは巻き肩によって首の可動域が制限されている特徴なため、鍼による筋緊張の緩和と合わせて骨盤矯正によって姿勢周りの改善をすることを勧めた。
治療方針:痛みが出ているのは首から肩にかけてだが、原因となっているのは胸部周りなため、胸部を中心に施術を行った。
施術1回目:頚部の緊張緩和+骨盤矯正
首の痛みが強く、骨盤矯正時に可動域の制限がかかるため初めに首周りの筋緊張をとるために施術を行いました。施術後、首周りの可動域が広がったので、そのまま骨盤矯正を開始。猫背を矯正するのを重点に肩甲骨・胸部を動かしました。矯正後は鍼で施術を行ったときよりも動きが改善されており、振り向くことも傾けることも可能に、しかし、左に大きく振り向こうとすると右の首筋に痛みが出るといった状態になりました。
施術2回目:胸部を中心的に施術+骨盤矯正
前回の施術から1週間での来院でした。前回から来院されるまでの間、仕事により再度姿勢は崩れており、首の痛みが再発。動かせないほどではないものの動かすとしんどいといった状態でした。また、来院されたのが出張からの帰り道だったため疲労が強く出ており、身体の感覚が鈍くなっている状態です。疲労のため施術中もほぼ寝ている状態で術後の変化を確認しようにも強い眠気で感覚がはっきりしないため、その場は確認せず後日確認することになりました。
施術3回目:胸部を中心的に施術+骨盤矯正
前回同様に1週間後での来院でした。首から肩にかけてのコリ感はなくなっていますが、左を向いた時の痛みは残存している状態です。しかしながら、他動的に正しい姿勢の状態になると首の痛みが出なくなるため、筋肉の緊張ではなく猫背による悪姿勢によって痛みが出ていることがわかりました。再度、胸部周りを中心に背中を行いましたが、一度身体に根付いた姿勢を正すのには時間がかかるため、来院頻度を落としながら、身体に正しい姿勢を植え付けることを主軸に施術していく運びとなりました。
その後の治療経過
現在は10日に一度の頻度で施術を受けられており、1カ月が経とうとしております。現在は痛みが出ることは少なくなりましたが、仕事が忙しいときなどデスクワークの時間が普段よりも長引いてしまうと姿勢が崩れ、それを骨盤矯正で修正するといった経過をたどっております。このままであれば、もうすぐ良姿勢も定着するはずですので、さらに来院頻度を減らして経過を診ていく予定です。
院長の所感
たまに見られる「コリ感がなくとも痛みが出ている」状態というのは、その多くが悪姿勢によって起きています。自分で見つける方法として簡単なのがベッドで仰向けになりながら動かしてみて痛むかどうかを確認することです。
厄介なもので痛みというのは、痛む部位に原因がない場合というのもあります。レントゲンなどに映らなくても、マッサージや鍼で楽になったという事例も多いので気になる人は鍼灸院や整骨院で姿勢を調べてみるのがおススメです!