症状: 肩関節周囲炎
患者様:50代 男性
痛み:来院される数年前から肩に慢性的な痛みと可動域の制限が現われている。腕を二の腕当たりの高さまでしか上げられず、無理に上げよとすると肩の横側に強い痛みが出る。
問診時:医師の診断を受けてはいないが四十肩であると自己申告しており、悪化しないが和らぐこともない慢性的な痛みが続いている。ものを持つ際には痛みは現れずに腕の動きで痛みが現れる。特に痛みが強いのは腕を横から上にあげる動きで、次に正面から腕を上げる動き。
治療方針:巻き肩が強く肩甲骨周囲の筋肉が極度に硬縮しており、腕を動かす際に連動して動くはずの肩甲骨が動かずに固定されている。それにより、関節との摩擦と可動域制限によって痛みが出ている状態だと推測をして、肩甲骨周りの筋肉を緩めることを優先して施術を行った。
施術1回目:肩甲骨周囲に対して施術
マッサージの経験はありましたが鍼治療は初めてだったので刺激量に注意しつつ施術を行いました。しかし、筋肉の硬縮が強く感覚が鈍くなっていたため鍼が刺さるときも筋肉の深くへ進むときも何も感じずにいました。
施術は肩甲骨の動きを阻害している筋肉の硬縮を緩めることを優先して施術を行ったところ、肩の可動域が少し広がり肩の高さまで動かせるようになりました。また筋肉が緩んだことで肩や背中周りの感覚が戻ってきたのか、触られている感じや痛みに対して明確な反応を返すようになりました。
施術2回目:肩甲骨周囲に対して施術
前回来院してから1週間後に来院。その間、身体の情他の変化はなく仕事をしていても悪化もせずに過ごしていました。今回も前回同様に肩甲骨周囲の筋肉を緩めるように施術。施術中に前回では感じなかった鍼が筋肉に刺さることの異物感を感知していました。
術後は正面から腕を上げる際の可動域が広がっており、一定の高さまで上げれるようになっていました。
施術3回目:胸部を中心に施術
施術後1週間後に来院されました。
前回の状態を鑑みて、鎖骨や肩関節に関連する筋肉が付着している胸部周りの筋肉を緩めるように施術を行ったところ、横から腕を上げる可動域も広がるようになりました。
いまだに通常の人の最大可動域には達しませんが、日常生活での着替え、棚の上のものを取る、髪を洗うなどの動作では痛みが現われなくなりました。
その後の治療経過
日常での生活動作で痛みが出ることもなくなったので患者さんの希望もあり間を開けて様子を診ることに、その後は仕事のデスクワークや出張でも状態は悪化せず、コリ感はあるものの痛みは気にならないで生活できているそうです。
院長の所感
本人の申告では四十肩とのことでしたが、四十肩・五十肩に見られる特徴的な「夜間に痛みが強くなる」ことがなかったため、長年のデスクワークによる不良姿勢と筋硬縮によって出ていたものと思われます。
人の身体も道具のようにメンテナンスをしないでいると徐々に不調が出始め、「痛み」として明確な症状として現れてしまいます。今回の患者さんはマッサージも2、3回しか受けたことがなく、その後もコリ感や痛みを我慢して働き続けたために症状がひどくなってしまったのでしょう。
痛みは身体の救援サインです!我慢せずに早め早めの対処をすることが健康へとつながりますので、自分の身体で気になることがある人はお気軽にご相談ください!