症状:頚椎症性神経根症
患者様:50代 男性
痛み:痛みはなく肩から肘にけて痺れが現われている
状態:来院される数カ月前から痺れが現われており、医師に受診した際に「頚椎症性神経根症」と診断されている。(頚椎症性神経根症とは、首を構成する骨「頚椎」の変形することによりそこを通る神経が圧迫されて起きる症状)
最初は痛みを伴っていたが、整形外科に通い症状が緩和して痺れだけが残った状態となる。
痺れに関しては状態が変わらなかったため医師に相談したところ鍼灸療法を提案されて当院へ来院した。
問診時:痺れは左肩の外側と前側から肘を覆うように現れており、痛みはなく可動域にも問題はない。握力の低下もなく痺れのみが出ている状態。
治療方針:頚椎症神経根症は痺れの出ている個所によって原因となる頚椎の高さがわかるため、その部位に鍼を刺入して低周波を流すことで神経を刺激し神経内の血流量の増加と周囲筋肉の緊張緩和を図っていく。
施術1回目:首を中心に全体の施術
痺れが出ているのは肩から肘にかけてですが、原因は首にあるため首を中心に施術を行っております。
下位頸椎を原因に痺れが出ているので、骨の際に鍼を刺入して通電をしたところ一時的に痺れが強くなりましたが、5分ほどして痺れの強さが緩和した状態になりました。
施術2回目:疲労をとるために全体の施術
出張の関係で来院に間が空き、3週間開けてのご来院になりました。
前回の施術後は数日間痺れが弱まり調子が良かったそうですが、時間がたってもとの痺れの強さに戻っていました。
痺れも気になっておりますが、今回はそれ以上に出張による全身の疲労が強く疲労困憊といったじょうたいだったので全体の疲労をとることを優先しての施術となりました。
施術3回目:首を中心に全体の施術
前回から10日開けてのご来院でした。
出張での疲労が抜けたため、痺れをとることに集中して施術を行いました。
今まではうつ伏せでの施術でしたが、腕が圧迫されて痺れが強くなってしまうため横向きの姿勢での施術に変更。
痺れの状態が弱くなってきたことでより痺れている個所がはっきりして現れるようになったのですが、頚椎症性神経根症では痺れが現われないはずの箇所にも痺れが現われていることが判明しました。その箇所に関しては経過観察ということになり、後日徒手検査で調べることにしました。
施術4回目:胸部と頚部前面を中心に施術
前回に判明した頚椎症性神経根症領域外の痺れに関して徒手検査を行ったところ、どの時期からかは不明ですがTOS(胸郭出口症候群)も併発していたことが判明しました。
TOSとは胸と首の間にある血管と神経の通り道が何かしらの要因で圧迫されて起こる腕や手先にかけての痺れや力の入りづらさが起きる症状です。
上記のことを踏まえて、胸部と頚部前面の筋緊張を緩めるように施術を行ったところ今までで一番の状態の緩和が観られました。
その後の施術
胸部への施術後は調子もよくなり、デスクワークが長引いたときに少しの痺れを感じる程度におさまりました。
そういった仕事が長引いた日に来院して痺れが酷くならないように予防のために今も低頻度で来院されております。
院長の所感
似通った症状でも原因は全くの別物というのはよくあることなのですが、今回のようにもとからあった症状と合併して発症すると先に合った症状がひどくなったと思い込んでしまうこともあります。
原因に対してちゃんとしたアプローチをすることが健康な身体をつくるうえで重要であり、私たち医療に携わる者は患者様たちの健康にどうすればお役立ちできるかをしっかりと見極めていきますので、お身体の違和感・お悩みはお気軽にご相談ください!